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※ 引用文献に忠実に版画としましたが浮世絵と読み替えても差し支えないと思います。版画には浮世絵の他に摺物が含まれます。

 「アメリカ東部ニューイングランド諸州の中で最も小さいロードアイランド州の州都、プロビデンス市にロードアイランド・スクール・オブ・デザイン美術館がある。

 農地としてさして広くないこの州は、18世紀の昔から織物、テキスタイルとそれをもとにした海外貿易によって生きてきた。その教育と研究のセンターがロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(1877年創立)であり、今日ではデザイン全般-テキスタイル、服飾ばかりでなく建築、室内装飾からブック・デザインまで-の専門教育機関として、アメリカばかりかヨーロッパでも高い評価を得ているとのことである。

 その心臓部とも言えるロードアイランド・スクール・オブ・デザイン美術館に『アビー・オルドリッチ・ロックフェラー日本版画コレクション』がある。大量の花鳥画からなる700点を越すそのコレクションは、海外では勿論のこと日本国内を見渡してもおそらく最高のものと言われている。」  

 では、学習のためその一部を見てみましょう。 

葛飾北斎、歌川国貞、歌川国芳ら

葛飾北斎、歌川国貞、歌川国芳ら

 

                                                                                          

ロック夫人 「1901年、アビー・オルドリッチはロックフェラー家の一人息子ジョン・D・ロックフェラー二世と結婚する。この結婚の前後から、日本の版画のコレクションを始めた様である。アビーは1896年、ジャポニズムがヨーロッパ全土に花開いていた頃にヨーロッパに遊学している。この頃から絵画に関心があったらしい。アビーは1921年に一度だけ夫とともに日本を訪れている。蒐集は主にアメリカで進められ、蒐集歴からアビーのコレクションは約20年間をかけた着実な労作だとわかる。

竹に雀

竹に雀(歌川広重 画)

 個々の浮世絵に付された記録から、たとえば『月に雁』は『1920年、山中商会より購入』と記録されている。『竹に雀』は1920年にニューヨークのAD・ファイクから購入とされ、さらにその前の所蔵者として若井兼三郎の名まで記録されている。若井は林忠正と同時代に活躍した初期の浮世絵商起立工商会社の代表で、その扱った版画に『わか井をやぢ』の朱印をおしている。この『竹に雀』にも鮮やかに読める。『林忠正』やハッパー広重の名で有名な米人蒐集家『JSHapper』の印もある。その版画がおそらく一旦はヨーロッパ、パリやロンドンに渡り、のちにアメリカに入ったものと想像される。旧帝国ホテルの設計者フランク・ロイド・ライトの名も、以前の所蔵者として登場している…。さらに、記録によると、1928年にチャーチ・コレクションのかなりの名品が加えられてもいる、と言う事がわかる。」

 つまり、名品と呼ばれる浮世絵は世界の大富豪達の間をぐるぐる回っているのである。庶民の通貨はペーパーマネーであるが、その紙幣を印刷する権利を有する人々つまり通貨発行権を握る大富豪連の通貨は、浮世絵や美術品だと言えるでしょう。

 そして、それと同等のもの(同じ版木から刷られる)を手に入れられるのは浮世絵しかないのではないでしょうか。

 

※ 引用文献:「甦る美・花と鳥と ロックフェラー浮世絵コレクション展」1990年、ブンユー社)

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